ITスタートアップのCTOはきつい?技術と経営の板挟み 【みんなの社畜体験談 #269】

📝 この記事でわかること

  • この仕事の具体的な仕事内容と1日の流れ
  • 給料・勤務時間・休日の実情
  • 実際にきつかったこと
  • この仕事で良かったこと
  • 向いている人の特徴

今回はITスタートアップのCTOの仕事を経験された方に体験談をいただきました。

実際に働いてみて感じたリアルな声をお届けします。これからITスタートアップのCTOを目指す方、転職を考えている方の参考になれば幸いです。

雇用形態 正社員
勤務地 新潟県
勤務時間 10:00〜22:00(実質稼働12〜14時間・土日も対応あり)
休日 週休2日(建前)、実質月4〜6日程度
給料 年収800万円
必要資格 特になし(実務でのエンジニアリング経験が必須)
業種 ITスタートアップ(SaaS)
主な業務内容 技術戦略の策定・開発チームのマネジメント・採用・アーキテクチャ設計・投資家向け技術説明
性別 男性
年代 30代
目次

始めたきっかけ

大手SIerで5年、Webスタートアップでバックエンドエンジニアを3年やった後、大学時代の友人が立ち上げたSaaSスタートアップにCTOとして参画しました。30歳のときです。友人であるCEOから「技術面は全部任せるから一緒にやろう」と口説かれて、自分の技術力で事業を作る側に回りたいという野望もあり、迷わず飛び込みました。CTO=最高技術責任者。肩書きはかっこいいですが、従業員10人のスタートアップのCTOは、実態は「一番働くエンジニア兼なんでも屋」でした。

1日の仕事内容

朝10時に出社して、まずSlackとGitHubの通知を確認。エンジニアチーム5人からのプルリクエストをレビューしつつ、自分でもコードを書きます。CTOがコードを書くべきかどうかは議論がありますが、10人規模のスタートアップではCTOも戦力。設計だけしている余裕はありません。

11時にCEOとの朝会。事業のKPIを確認して、プロダクトの優先度を議論。「この機能を来週までに出せるか」「セキュリティ監査の対応はどうなっている」「投資家に見せる技術ロードマップを更新してほしい」。技術のことだけ考えていたいのに、経営の話が次々に降ってきます。

午後はエンジニアの採用面接が週に2〜3件。技術力の見極めと、カルチャーフィットの判断。採用は会社の命運を左右するので手は抜けません。空いた時間にインフラの構成変更やCI/CDの改善。夕方に開発チームとのスプリントレビュー。夜はCEOと一緒に投資家向けのピッチ資料を作成。帰宅は22時〜23時が日常です。土日もSlackは鳴りっぱなしで、障害が起きたら深夜でも対応します。

この仕事できつかったこと

技術と経営の板挟みが最大のきつさです。エンジニアとしては技術的負債を返済したい。でもCEOは「今は新機能を出してグロースを優先してほしい」と言う。投資家はKPIの成長を求めている。エンジニアチームは「リファクタリングの時間をくれ」と訴えてくる。全方位から異なる要求が飛んできて、全部を満たすのは物理的に不可能。誰かを失望させる意思決定を常に迫られるのは、精神的に非常に消耗します。

「最後の砦」のプレッシャーがきつい。本番環境で障害が発生したとき、最終的に復旧させるのはCTOの仕事。深夜3時に叩き起こされてダッシュボードを睨みながらバグを特定。サービスが止まっている間、お客さんからクレームが殺到する。「CTOなんだから何とかしてくれ」。この重圧は想像以上でした。

孤独です。チームメンバーには弱みを見せられない、CEOとは時に対立する、エンジニアの愚痴も経営の不安も聞く側になる。CTOは「相談できる相手がいない」ポジション。メンタルの維持が一番の課題でした。同じ立場のCTO同士のコミュニティに救われましたが、最初の1年間は孤独で何度も辞めたくなりました。

この仕事で良かったこと

自分が設計したアーキテクチャの上でプロダクトが動き、実際のユーザーが使ってくれている。この感覚は大企業のエンジニア時代には味わえなかったものです。お客さんから「このサービスのおかげで業務が楽になった」というフィードバックをもらったときは、チーム全員で喜びました。

技術的な意思決定を全て自分ができるのは、エンジニアにとって最高の環境です。使う言語、フレームワーク、インフラ構成。大企業では上の承認が必要だったことが、CTOの判断で即決できる。このスピード感とオーナーシップは、スタートアップならではの醍醐味です。

年収800万円は同年代のエンジニアと比べて高い方ですが、ストックオプションがついているのが真のリターン。会社がうまくいけば、数千万〜数億のリターンが見込める。ハイリスク・ハイリターンのキャリアに賭けている感覚は、スリルと期待が入り混じって妙にワクワクします。

この仕事を辞めた理由

辞めていません。3年目で、エンジニアチームは5人から12人に成長。シリーズAの資金調達も成功して、会社のフェーズが変わりつつあります。最近はVPoE(VP of Engineering)の採用を進めていて、マネジメントの一部を移譲する計画です。CTOとして技術戦略に集中できる環境を自分で作っていくのが、今の目標です。

この仕事が向いている人

技術力とコミュニケーション力の両方を持ち、曖昧な状況での意思決定を楽しめる人に向いています。「技術だけやりたい」人にはCTOは向きません。経営視点を持ちながら技術を推進できるバランス感覚が必須です。プレッシャーに強く、孤独に耐えられるメンタルの持ち主であることも重要。安定志向の人には絶対におすすめしません。

この仕事に就きたい人へ一言

CTOを目指すなら、エンジニアとして5年以上の実務経験に加えて、チームリードやプロジェクトマネジメントの経験が求められます。技術ブログやOSS活動で自分の技術力を可視化しておくと、スタートアップからの声がかかりやすくなります。

CTOのキャリアパスはIPO後の上場企業CTO、VCのテクニカルアドバイザー、連続起業家など多岐にわたります。最初の1社でうまくいかなくても、CTO経験自体が市場価値を大きく引き上げてくれます。

よくある質問(FAQ)

Q. スタートアップのCTOに必要な技術力は?

A. フルスタックである必要はありませんが、アーキテクチャ設計、インフラ構築、セキュリティの基礎は理解している必要があります。最も重要なのは「何を作るか」を技術的に正しく判断できる力です。

Q. CTOの年収はどれくらい?

A. シード〜シリーズAのスタートアップで600〜1,000万円が相場。ストックオプションの価値は会社の成長次第ですが、IPOすれば数千万〜数億のリターンになるケースもあります。大手企業のCTOなら年収1,500〜3,000万円クラスです。

まとめ

ITスタートアップのCTOは技術と経営の板挟み、深夜の障害対応、孤独なポジションがきつい一方、自分の技術で事業を作り上げる唯一無二のやりがいと、ストックオプションによるハイリターンの可能性がある仕事です。技術力とリーダーシップの両方に自信がある人にとって、キャリアの最高峰を目指せるポジションです。

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社畜王の中の人

板前、運送、不動産、Webディレクターなど、複数の業界を渡り歩きながら転職を重ねてきた“現場型キャリア”。未経験分野への転職やキャリアチェンジを実際に経験してきたからこそ分かる、「通用するスキル」「転職で評価されるポイント」「失敗しない選び方」をリアルベースで発信しています。遠回りしてきたからこそ見えてきた、“再現性のある転職の考え方”を共有していきます。

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