翻訳者(英日)はきつい?納期と専門知識のプレッシャー 【みんなの社畜体験談 #296】

📝 この記事でわかること

  • この仕事の具体的な仕事内容と1日の流れ
  • 給料・勤務時間・休日の実情
  • 実際にきつかったこと
  • この仕事で良かったこと
  • 向いている人の特徴

今回は翻訳者(英日)の仕事を経験された方に体験談をいただきました。

実際に働いてみて感じたリアルな声をお届けします。これから翻訳者(英日)を目指す方、転職を考えている方の参考になれば幸いです。

雇用形態 フリーランス
勤務地 和歌山県
勤務時間 不定(1日6〜10時間・案件状況による)
休日 不定(月5〜7日・自分で調整)
給料 月収35万円(波あり)
必要資格 TOEIC 960点・英検1級
業種 翻訳・ローカライズ
主な業務内容 英日翻訳(IT・医薬・法務分野)・翻訳メモリ管理・用語集整備・ネイティブチェック対応
性別 女性
年代 30代
目次

始めたきっかけ

大学で英語を専攻して、卒業後は商社の事務職に就きました。海外の取引先とのメールを翻訳する機会が多くて、「翻訳の仕事って面白い」と感じ始めたのが入社2年目。ただ商社の事務は翻訳が本業じゃないので、もっと翻訳に集中できる環境が欲しくなりました。27歳のときに退職して、翻訳学校に半年通ってからフリーランスの翻訳者として独立。翻訳会社に登録してトライアル(テスト翻訳)を受けまくり、3社に合格してキャリアをスタートさせました。

1日の仕事内容

朝8時に起きて、メールを確認。翻訳会社から新しい案件の打診が来ていれば、分量と納期を見て受けるかどうかを判断します。受注が確定したら、まず原文を通して読んで全体の構成を把握。専門用語が多い案件はリサーチから入ります。

午前中は集中力が高いので翻訳作業に充てます。翻訳支援ツール(Trados)を使って、原文を1文ずつ翻訳していく。IT分野のマニュアルなら1日3,000〜4,000ワード、医薬分野の論文なら1日2,000〜2,500ワードくらいのペース。お昼を挟んで午後も翻訳の続き。15時頃に一度コーヒーブレイクを入れて、16時から見直し作業。自分の翻訳を読み返して、誤訳や不自然な表現を修正します。

夕方に納品して、翌日の案件の準備。納期が重なっているときは22時〜23時まで作業することもあります。複数案件を並行して進めるのが常態化していて、スケジュール管理が生命線です。

この仕事できつかったこと

納期のプレッシャーが常に頭から離れません。翻訳の仕事は基本的に「いつまでに何ワード」が決まっていて、遅れは許されない。体調が悪くても納期は待ってくれない。インフルエンザで39度の熱が出た日も、解熱剤を飲んで翻訳した経験があります。フリーランスに有給はないので、休んだらその分の収入がゼロになる。この恐怖が常にある。

専門知識の壁がきつかったです。IT分野ならまだ何とかなりますが、医薬分野の翻訳は専門用語の嵐。「抗体依存性細胞傷害」「ファーマコキネティクス」みたいな言葉が出てくると、翻訳以前に内容の理解が必要。毎回論文を読みながら調べものをして、翻訳時間の3割がリサーチに消えることもあります。法務分野の契約書も独特の言い回しがあって、一つの訳語の選択を誤ると法的なリスクにつながりかねない。責任の重さに押しつぶされそうになることがあります。

AI翻訳の進化で将来への不安が年々強まっています。ChatGPTやDeepLの翻訳精度が上がるにつれて、「翻訳者は不要になるのでは」というプレッシャーを感じます。実際、単価の値下げ交渉をされるケースが増えていて、5年前と比べてワード単価が2割近く落ちている案件もあります。

この仕事で良かったこと

自分の翻訳が世に出て、誰かの役に立っている実感があるのはやりがいです。自分が翻訳したソフトウェアのマニュアルがユーザーに読まれている、自分が翻訳した医薬品の治験報告書が審査に使われている。表に名前は出ませんが、縁の下の力持ちとして社会を支えている誇りがあります。

在宅で完結する仕事なので、通勤がなく、自分のペースで働けるのは大きな魅力。集中できる時間帯に作業して、気分転換に散歩に出て、また戻って翻訳。この自由さは会社員時代には考えられなかったものです。

英語力がどんどん上がるのも実感します。毎日何千ワードもの英文を読んで翻訳していると、リーディング力は当然として、語彙力や表現力がみるみる向上する。翻訳者になって3年で、英検1級も難なく取得できました。

この仕事を辞めた理由

辞めていません。フリーランス5年目で、得意分野をIT・医薬に絞ったことで指名の仕事が増えてきました。月収は安定して35万円前後。AI翻訳への対策として、ポストエディット(AI翻訳の修正)の案件も積極的に受けるようにしています。翻訳だけでなく、英語コンテンツのライティングにも領域を広げている最中です。

この仕事が向いている人

英語が好きで、調べものが苦にならない人に向いています。「一つの言葉に30分悩める」ような言葉へのこだわりがある人がいい翻訳者になれます。締め切りに追われてもパニックにならない冷静さも必要。逆に、人と会話しながら仕事がしたい人や、安定した月給が欲しい人にはフリーランスの翻訳者はきつい仕事です。

この仕事に就きたい人へ一言

翻訳者として単価を上げたいなら、専門分野を絞ることが最重要です。IT、医薬、法務、金融など、専門性が高い分野ほどワード単価が上がります。翻訳会社のトライアルを複数受けて、得意分野で実績を積むのがキャリアアップの王道。

AI翻訳の進化は脅威ですが、高品質な翻訳ができる人材の需要は消えません。「AIにはできない翻訳品質」を武器にするためにも、専門知識の深掘りは今後ますます重要になります。

よくある質問(FAQ)

Q. 翻訳者になるのに資格は必要?

A. 必須の資格はありません。ただし、TOEIC 900点以上や英検1級があると翻訳会社のトライアルに通りやすくなります。JTF(日本翻訳連盟)のほんやく検定もスキル証明として有効。実際に重視されるのはトライアルの翻訳品質です。

Q. フリーランス翻訳者の収入はどれくらい?

A. 駆け出しで月収10〜20万円、3〜5年の中堅で月収30〜40万円、専門性の高いベテランで月収50〜80万円が目安。ワード単価は分野によって異なり、一般文書で8〜12円、医薬・法務で15〜25円程度です。

まとめ

フリーランスの翻訳者は、納期のプレッシャー・専門知識の壁・AI翻訳による単価下落がきつい一方、在宅で自分のペースで働ける自由さと、英語力を活かして社会を支える誇りが魅力です。専門分野を極めて品質で差別化すれば、AI時代でも食べていけるキャリアが築けます。

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社畜王の中の人

板前、運送、不動産、Webディレクターなど、複数の業界を渡り歩きながら転職を重ねてきた“現場型キャリア”。未経験分野への転職やキャリアチェンジを実際に経験してきたからこそ分かる、「通用するスキル」「転職で評価されるポイント」「失敗しない選び方」をリアルベースで発信しています。遠回りしてきたからこそ見えてきた、“再現性のある転職の考え方”を共有していきます。

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