鍼灸師は食えない?国家資格を取っても安泰ではない現実 【みんなの社畜体験談 #197】

📝 この記事でわかること

  • この仕事の具体的な仕事内容と1日の流れ
  • 給料・勤務時間・休日の実情
  • 実際にきつかったこと
  • この仕事で良かったこと
  • 向いている人の特徴

今回は鍼灸師の仕事を経験された方に体験談をいただきました。

実際に働いてみて感じたリアルな声をお届けします。これから鍼灸師を目指す方、転職を考えている方の参考になれば幸いです。

雇用形態 正社員
勤務地 東京都品川区
勤務時間 10:00〜20:00(シフト制・実働8時間)
休日 週休2日(シフト制・平日休み中心)
給料 年収320万円
必要資格 はり師・きゅう師免許
業種 鍼灸院・治療院
主な業務内容 鍼灸治療・カウンセリング・美容鍼施術
性別 男性
年代 30代
目次

始めたきっかけ

大学時代に慢性的な頭痛に悩んでいて、友人の勧めで鍼灸院に行ったのが最初の出会いです。たった1回の施術で頭がすっきりして、「こんな世界があるのか」と衝撃を受けました。もともと医療系に興味はあったものの、医学部に行く学力はなかった。鍼灸なら3年の専門学校で国家資格が取れると知り、卒業後すぐに進学しました。国家試験に合格して、池袋の鍼灸院に就職したのが25歳のときです。

1日の仕事内容

10時に出勤してベッドメイキングと準備。10時半から予約の患者さんを迎えます。

最初に問診とカウンセリング。初診の方は30分ほどかけて、体の不調や生活習慣を丁寧に聞き取ります。そこから経絡(けいらく)の状態を見ながら施術方針を決め、鍼とお灸を使った治療を約40〜50分。肩こり、腰痛、自律神経の乱れ、不妊治療のサポートなど、患者さんの悩みは多岐にわたります。

1日に担当する患者さんは6〜8人。予約の合間にカルテ記入とベッドの消毒。午後は美容鍼の施術が増えます。顔に鍼を打つ美容鍼は女性に人気で、うちの院の売上の3割を占めていました。

20時に閉院して片付け。20時半頃に退勤するのが通常ペースです。院のSNS運用を任されていたので、帰宅後にInstagramの投稿を作る日もありました。

この仕事できつかったこと

一番きつかったのは、「食えない」という現実に直面したことです。国家資格を3年かけて取得して、学費は400万円以上。それなのに初任給は手取り19万円。奨学金の返済と一人暮らしの家賃を払うと、ほとんど何も残りません。友人たちが旅行やブランド物を楽しんでいるのを見て、自分は何のために資格を取ったんだろうと落ち込んだことが何度もありました。

鍼灸の保険適用が非常に限られているのも業界の課題です。医師の同意書がないと保険が使えないため、基本は自費治療。自費だと1回5,000〜8,000円するので、患者さんの経済的負担が大きく、継続通院してもらうのが難しい。リピーターを増やせないと院の売上が立たず、給料にも反映されません。

「鍼って怖い」「本当に効くの?」という偏見との戦いもあります。エビデンスが確立されている分野もあるのに、「民間療法」と一括りにされがちなのが悔しいです。

この仕事で良かったこと

長年の腰痛に苦しんでいた方が、鍼治療を続けて「最近全然痛くない」と笑顔で報告してくれたとき。自分の手と技術で人の苦しみを和らげられる実感は、何にも代えられないやりがいです。

美容鍼の分野は伸びていて、「顔がリフトアップした」「肌の調子が良い」と喜んでもらえるのも楽しかった。SNSとの相性が良く、ビフォーアフターの投稿がバズったときは、集客にも直結して手応えを感じました。

鍼灸師は技術職なので、腕を上げれば上げるほど患者さんがついてきます。指名で予約が埋まるようになったときは、自信になりました。

この仕事を辞めた理由

3年間勤めた後、美容鍼に特化した自費のサロンに転職しました。保険施術中心の院よりも、自費で単価を上げられる環境のほうが自分の技術を正当に評価してもらえると考えたのが理由です。年収は50万円ほどアップしました。

この仕事が向いている人

人の体に触れることに抵抗がなく、手先の感覚が鋭い人に向いています。東洋医学や体の仕組みに対する知的好奇心がある人は、勉強のモチベーションが続きます。患者さんとの信頼関係がリピートに直結するので、コミュニケーション力は必須。独立志向がある人にとっては、開業のハードルが比較的低い(設備投資が少ない)のも魅力です。

この仕事に就きたい人へ一言

鍼灸師は「国家資格=安泰」ではありません。技術を磨くのは当然として、マーケティングや集客の知識がないと食べていけない時代です。SNS運用、口コミ対策、ホームページ制作など、ビジネススキルも一緒に身につけてください。

美容鍼やスポーツ鍼灸など、自費で単価を取れる分野に強みを作ると収入は大きく変わります。「何でも診れる」よりも「この分野なら任せて」と言える専門性を持つことが、これからの鍼灸師には必要です。

よくある質問(FAQ)

Q. 鍼灸師の年収はどれくらい?

A. 雇われで280〜380万円が相場。美容鍼特化やスポーツ分野に強い鍼灸師は400万円以上も。開業して成功すれば600万円以上も可能ですが、集客に苦戦して廃業するケースも多いのが現実です。

Q. 鍼灸と柔道整復、どちらを目指すべき?

A. 保険施術を中心にやりたいなら柔道整復師、東洋医学や美容鍼に興味があるなら鍼灸師。両方の資格を取るダブルライセンスの人も増えています。将来の方向性で選ぶのがおすすめです。

まとめ

鍼灸師は国家資格でありながら、保険制度の壁や知名度の低さから「食えない」と言われることも多い職種です。しかし、美容鍼やスポーツ分野など成長領域もあり、技術とビジネス感覚を両立させれば十分に稼げる可能性を持っています。東洋医学に本気で向き合いたい方には、挑戦する価値のある仕事です。

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社畜王の中の人

板前、運送、不動産、Webディレクターなど、複数の業界を渡り歩きながら転職を重ねてきた“現場型キャリア”。未経験分野への転職やキャリアチェンジを実際に経験してきたからこそ分かる、「通用するスキル」「転職で評価されるポイント」「失敗しない選び方」をリアルベースで発信しています。遠回りしてきたからこそ見えてきた、“再現性のある転職の考え方”を共有していきます。

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